シュタイナー教育における音楽療法と言語造形の理念を踏まえると、「音霊」と「言霊」の概念が深く関わっていることがわかります。音霊(おとだま)とは、音そのものに宿るエネルギーや力を指し、一音一音が人々に影響を与えるという考え方です。シュタイナーの音楽療法では、音が持つ振動が人間の身体や精神に深い影響を与えるとされ、音を通じて心身の調和を図ります。これは、音霊がもつ癒しの力や、音によって感情や意識が変化することと一致します。
一方で、言霊(ことだま)は、言葉に宿る力を意味し、発した言葉が現実や他者に影響を及ぼすとされています。シュタイナーの言語造形では、言葉の響きやリズム、発音そのものが表現や精神的な働きに重要な役割を果たすと考えられています。言葉が単なる情報伝達手段ではなく、その響きが人間の内面や社会に働きかけ、精神的な成長を促す力を持つという点で、言霊の概念と通じます。
音霊と言霊は、どちらも人間の意識や身体に深く作用し、日常の音や言葉をより意識的に扱うことで、内的な変化や調和をもたらす可能性があると考えられます。